若手が来ない…を逆転させた、町工場の「採用マーケティング」成功事例
― 応募ゼロから、課長が育つ採用体制をつくるまで ―
従業員の高齢化に悩む町工場が、大学生の“長期就業体験”を活用することで、【若手人材の採用と定着】、さらに【社内の活性化】まで実現した、ひとつの成功事例をご紹介します。
「求人を出しても若手が応募してこない」「ようやく来ても、すぐ辞めてしまう」
「求人を出しても若手が応募してこない」
「ようやく来ても、すぐ辞めてしまう」
これは、町工場や中小企業が抱える“採用の壁”の典型例です。
しかし、ある町工場が「求人採用をマーケティングの視点で考える」ことで、
● 応募ゼロの状態から、
● 5年間で5人の若手を課長に育てるまで
組織を大きく変化させた成功事例です。
その背景にあるのは、「働く環境を整える」だけではなく、“魅力をどう伝えるか”という情報発信の考え方です。
「このままでは10年後、事業継続すら危うい」
この町工場では、2011年に世代交代が起き、社長が2代目へ。
当時、従業員の半数以上が65歳以上のパート従業員という状況でした。
「このままでは10年後、事業継続すら危うい」
そう感じた現社長は、まず「将来の幹部候補”となる若手正社員の採用」に踏み出しました。
しかし、高額な費用と時間をかけて、いくら求人を出しても、応募はゼロ。
そこで活用したのが、当時自治体が実施していた「大学生の長期就業体験プログラム」でした。
会社の魅力を肌で感じる現場の疑似体験
受け入れた学生たちは、社内報の作成、掲示物づくり、工場業務の体験など、それぞれの「得意分野」を活かせる形で業務に参加。
・ 社内報や掲示物の作成(得意なデザインスキルを活用)
・ めっき工程の分析補助(理系知識を実践)
・ 製造業務の一部を実務レベルで体験
学生たちは、自分の得意なことを活かして働ける手応えを得ていきます。
そして何より、会社の雰囲気や人間関係の中で「ここならやっていけそう」と感じたことが、正社員希望につながりました。結果、インターン参加者全員が正社員として入社。
以降の採用活動でも学生の姿が影響し、見学に訪れた若者の反応が「若い社員が働いている会社だというだけで、安心感がある」という好印象を与えています。
好転する”社内の雰囲気”
この変化は、外部だけではなく、社内にも影響しました。
- インターンと共に、社内の整理整頓・環境改善を実施
- 学生と社員が協力して、ホームページや掲示物の整備
- 朝の挨拶や体操など、社員同士のコミュニケーション活動も活発化
結果として、
- 社員のモチベーション向上
- 離職の抑制
- 来客時・求職者来社時の“見られる意識”の向上
など、副次的な効果が広がりました。
「見込み層」へ継続的に接触できる“メールマーケティング”
展示会等で名刺交換をした相手と接点を持ち続けたいとの社長の想いから、メールマガジ ンを開始。
メールマガジンでは、各種検定試験に合格した従業員を取り上げることで、資格 取得のモチベーションの向上にもつながっている。また、採用のためには、就職説明会以降も自社を認知してもらう必要があると考え、就職説明会等で知り合った高校や大学の 就職支援担当教員にも配信。
メールマガジンを定期的に配信することにより、出会った相手を“その場限り”で終わらせず、継続的に自社を印象付ける取り組みで、接触頻度を高めて、求職者の応募時期のタイミングによる機会損失を防ぐための採用活動ができるように工夫している。
